心筋梗塞の看護を考える

心筋梗塞の看護を考える

心筋梗塞とは

心筋梗塞は、冠血管が狭くなったり閉塞したりして、
冠動脈の血流が急に少なくなり、
その支配領域の心筋が壊死してしまう病気です。

 

壊死してしまうと、その心筋は、再灌流が成功しても
その機能は回復しません。

 

治療後は、残りの生存心筋を保護司、
動脈硬化の進展などを予防することが重要です。

 

<心臓の構造>

 

心臓は、左右の肺の間に挟まれています。

 

そして、正中線(せいちゅうせん)よりも左寄りにあり、
大きさは手拳(しゅげん)よりもやや大きく、
重さは成人で250〜300gほどです。

 

心臓は、「心筋」という特殊な筋肉からできていて、
自分の意思では動かすことができません(不随意筋(ふずいいきん))。

心筋梗塞の看護

血行動態が安定してきたら、社会復帰できるように
早期からリハビリテーションを行います。
徐々に心臓に負荷をかけ、活動範囲を広げていきます。

心臓リハビリテーション

心臓リハビリテーションは、
心筋梗塞の再発予防、
QOL(Quality of life/生活の質、生命の質)改善を目的に行われます。

 

運動療法や服薬・食事・禁煙等の患者教育、カウンセリングなどを
総合的に行う長期プログラムです。

 

運動負荷後にはバイタルサイン、心電図所見をとります。

 

心臓リハビリテーション進行中に、再梗塞や心機能の低下が起こらないよう、
心負荷過剰の兆候に中位をして、全身の状態の観察を行うようにします。

 

四肢と胸部に10個の電極をつけ、
安静仰臥位で測定をします。

 

標準12誘導心電図は、6つの四肢誘導、6つの単極胸部誘導を記録します。

 

・標準12誘導心電図

 

標準肢誘導: I誘導→右手と左手の間の電位差(左心室高位側壁)
       U誘導→右手と左足間のの電位左(心室下壁)
       V誘導→左手と左足間の電位差(心室下壁)

 

単極肢誘導: aV R→不関電極と右手間との電位差(左心室内膜面)
aV L→不関電極と左手間との電位差(右心室高位側壁)
aV F→不関電極と左足間との電位差(心室下壁)

 

単極胸部誘導: V1→第4肋間胸骨右縁(右心室・心室中隔)
        V2→第4肋間胸骨左縁(右心室・心室中隔)
        V3→V2とV4の結合線の中点(左心室前壁、心尖部)
        V4→左鎖骨中線と第5肋間の交点(左心室前壁、心尖部)
        V5→V4の高さの水平線の左前腋窩線との交点(左心室側壁)
        V6→V4の高さの水平線と中腋窩線との交点(左心室側壁)

急性心筋梗塞クリニカルパスの例

・達成目標

 

1日目: 急性心筋梗塞及びカテーテル検査に伴う合併症を防ぐ。

 

2日目: 急性心筋梗塞及びカテーテル検査に伴う合併症を防ぐ。

 

3日目: 急性心筋梗塞に伴う合併症を防ぐ。

 

4日目: 心筋虚血が起きない。

 

5日目〜7日目: 心筋虚血が起きない。服薬自己管理ができる。
         退院後の日常生活の注意点について知ることができる。

 

8日目〜10日目: 心筋虚血が起きない。
         退院後の日常生活の注意点について理解ができる。

 

11日目〜13日目: 亜最大負荷で虚血がない。
         退院後の日常生活の注意点について言える。

 

14日目: 退院

 

・負荷試験/リハビリ

 

1日目: 圧迫帯除去、創部の消毒。
     室内排便負荷。

 

2日目: 尿カテーテル抜去。

 

3日目: 末梢ライン抜去。
     トイレ排泄負荷。

 

4日目: 200m歩行負荷試験→合格後200m歩行練習1日3回。
     栄養指導依頼。

 

5日目: 心臓リハビリ依頼。
     心臓リハビリ開始日の確認。 

 

6日目〜7日目: 心臓リハビリ室でエントリーテスト(心臓リハビリ非エントリー例で500m歩行負荷試験)。

 

8日目以降: 心臓リハビリ室で運動療法(心臓リハビリ非エントリー例では、
      マスターシングル試験または入浴負荷試験)。

 

・安静度

 

1日目: 圧迫帯除去後床上自由。

 

2日目: 室内自由。

 

3日目: 負荷後トイレまで歩行可能。

 

4日目〜5日目: 200m病棟内自由。

 

7日目以降: 亜最大負荷試験合格後は入浴可及び院内自由。

 

・食事

 

1日目〜3日目: 循環器疾患普通食(1600kcal、塩分6g)。
        飲水量指示。

 

4日目以降: 循環器疾患普通食(1600kcal、塩分6g)。
       飲水制限なし。

 

・排泄

 

1日目〜2日目: 尿留置カテーテル。
         排便:ポータブル便器

 

3日目以降: 排尿・排便トイレ使用可能。

 

・清潔

 

1日目: 洗面ベッド上。
     全身正式、背・足介助。

 

2日目〜3日目: 洗面は洗面台使用。
        全身正式、背・足介助。

 

4日目〜5日目: 洗面は洗面台使用。
        全身正式、背介助。

 

6日目〜7日目: 洗面は洗面台使用。
        患者さんの希望に合わせて清拭。

 

8日目以降: 洗面は洗面台使用。
       患者さんの希望に合わせて入浴。

 

 

心筋梗塞の患者さんに対しては、
このような急性心筋梗塞クリニカルパスに基づいて、
患者さんの看護を行っていきます。

頚静脈のアセスメント

頚静脈圧の測定の目的

 

頚静脈圧を測定することで、右心内圧を測定することができ、
右心不全などを判断することができます。

 

頚静脈圧の測定方法

 

(1) ベッドの頭部側を45度に挙上し、患者さんの右側に立ちます。

 

(2) 頚静脈の上端(静脈のふくらみ(怒張)の一番高いところ、
   或いは拍動点の最も高いところ)をみつけ、
   胸骨角から垂直に定規を立て、胸骨角からの高さを測定します。

 

 *正常では、頚静脈の怒張(拍動点)が胸骨角より3cm超えません。
  健康な人は殆ど0センチです。
  4.5cm異常のレベルに静脈拍動が観られるときは、右心内圧が高い状態を示唆します。

浮腫(むくみ)のアセスメント

血管内の浸透圧が低下し、水分が皮下組織に滲み出すと
「むくみ」が起こります。

 

浮腫の原因は、静水圧の上昇、低アルブミン血症、血管透過性亢進、
皮下・間質の浸透圧の上昇、リンパ管の閉塞等があります。

 

心機能が低下することによって起こる浮腫の原因は、
主に静水圧の上昇によるものです。

 

たとえば、右心不全になると、右心にたまった血液を
肺から左心系に送ることができなくなります。
すると全身から戻ってきた血液は、
右心系に流れ込むことができずに、
手足等の末梢にうっ滞してしまうため、
「浮腫(むくみ)」の症状が現れるのです。

 

浮腫の視診と触診

 

(1) 浮腫の視診: 浮腫の部位、程度

 

(2) 浮腫の触診: 通常、頸骨、足背部で行います。
   母指を用いて少なくとも5秒間圧迫し、
   指を離した後、圧痕(あっこん)があるかどうかをみます。

 

水分出納

 

「水分出納」とは、
水分摂取量(intake)と水分排泄量(output)の収支のことです。

 

この水分出納のバランスは、体液の貯留、心負荷の増強・軽減の
アセスメントをするためにとても大切です。

 

私達、ヒトの摂取量は、飲水、食物中の水分、代謝水の量の合計になります。

 

そして、排泄量は、尿、便中の水分、そして、不感蒸泄の合計になります。