心筋梗塞の看護を考える

心筋梗塞の検査と診断

心筋梗塞の検査と診断

心筋梗塞は、医師の診察(病歴、臨床症状、聴診)と、
心筋梗塞の検査を元に診断します。

 

広範囲の心筋梗塞によって心筋収縮機能が低下すると、
急性左心不全、心原性ショック、不整脈などを合併することがあるので、
重症度の判定が重要です。

 

急性心筋梗塞が原因の佐心不全の分類は、
キリップ分類(Killip分類)が用いられます。
このキリップ分類によって、初診時の聴診所見で、
短時間で心機能障害の程度を推測することができるので、
重症度の判定にとても役立ちます。

 

*キリップ分類

 

I: 心不全兆候無し

 

U: 軽度から中等度の心不全。
   肺ラ音聴取域が全肺野の50%以下。
   V音聴取。
   静脈圧上昇(怒張)

 

V: 重度の心不全。
   肺水腫。
   肺ラ音聴取域が全肺野の50%以上

 

W: 心原性ショック。
   血圧90mmHg以下。
   末梢循環不全。

 

そして、心不全の重症度判定には、
スワンガンツカテーテル検査によるフォレスター(Forrester)分類が用いられます。

 

*フォレスター分類と治療方法

 

I群: 正常(安静)

 

U群: 肺うっ血(利尿剤、血管拡張剤)

 

V群: 末梢循環不全(輸液、強心剤、ペーシング)

 

W群: 肺うっ血+末梢循環不全(強心剤、IABP、PCPS)

心筋梗塞の検査

・血液性化学検査

 

急性心筋梗塞では、心筋細胞が壊死したことにより、
傷害された心筋細胞から特有の酵素やタンパク質が血液中に出現します。

 

これらの酵素は、心筋から逸脱するので、
「心筋逸脱酵素」と呼ばれ、経時的に特徴的な増減のパターンを示します。

 

この心筋逸脱酵素の濃度を血液生化学検査によって測定し、
心筋の壊死の発生や程度を知ることができます。

 

*急性心筋梗塞による心筋逸脱酵素の上昇を示す時期

 

発症後数時間上昇: 心臓型脂肪酸結合タンパク(H-FABP:heart type fatty acid-binding protein)、ヘムタンパク質のミオグロビン

 

発症後数時間〜24時間に上昇: トロポニンT、クレアチンキナーゼMB(CK-MB:creatine kinase MB)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST:aspartate aminotransferase)

 

発症後数時間〜10日頃に上昇: ミオシン軽鎖、乳酸脱水素酵素(LDH:lactic dehydrogenase)

 

 

・心臓カテーテル検査

 

心臓カテーテル検査は、カテーテルを経皮的に心血管に挿入し、
造影剤によって形態学的異常を検出したり、
心臓内腔の圧力、酸素飽和度を測定し、血行動態を把握することができます。

 

左心カテーテルでは、左心室造影(LVG:Left ventriculography)や、
冠動脈造影(CAG)を行って、心機能の異常や冠動脈の形態学的異常を検出します。

 

右心カテーテルでは、スワンガンツカテーテルを用いて、
肺動脈楔入圧(はいどうみゃくせつにゅうあつPWP:pulmonary wedge pressure)や、
心係数(CI:cardiac index)を計測して、心不全を評価します。

 

・心電図

 

心電図は、早期から心臓に異常があるとそれを認めることが出来ます。
また、継時的な変化や異常の現れる誘導により、
梗塞部位や発症時期、大きさなども推測できます。

 

心電図に見られる変化のもう一つ重要な所見は不整脈です。
重症不整脈が認められた場合は、早急に治療や予防が行われます。

 

*心電図の基本波形と名称

 

心電図は、虚血や壊死などの心筋の異常や刺激発生部位、
興奮伝導の異常など不整脈の診断に役立つもので、
心筋の電気興奮によって生じる電位変異を
目に見える波形として記録したものです。

 

P波: 心房が興奮(脱分極(だつぶんきょく))したときに生じる波形

 

QRS波:心室の興奮(脱分極)によって生じる波形

 

T派: 心室が興奮(脱分極)から回復(再分極)するときに生じる波形

 

U波: T派に続いて出現することがある(成因は不明)

 

PQ時間: P波の始まりからQRS波の始まりまでの部分
    (心房興奮開始から心室興奮開始までの時間)

 

QT時間: QRS波の始まりからT派の終わりまでの部分
    (心室の興奮開始から回復終了までの時間)

 

ST部分: QRS波の終わりからT波の始まりまでの部分
    (心室の興奮完了から回復開始までの間隔)

 

RP間隔: QRS波とQRS波との間隔

 

*急性心筋梗塞の経時的の心電図の変化

 

心筋梗塞では、典型的には該当する誘導部位において発作直後からT波の増高、
またはSTの上昇がみられます。
そして、数時間から数日持続し、その後、その範囲の誘導に
異常Q波またはQS波がみられます。

 

非貫壁性梗塞の場合は、Q派は見られず、ST波、及びT波の変化に
注意をすることが必要です。

 

さらに、後壁梗塞の場合も、発作直後からT波の増高、
またはSTの上昇がみられるというゆおな典型的な心電図異常とは
違った変化が現れるので注意が必要です。

 

・心エコー検査

 

虚血に陥った心臓は、収縮能と拡張能が障害されます。

 

心エコー検査では、壁運動異常を示すので、
収縮異常を評価することができます。

 

・心臓核医学検査

 

心臓核医学検査とは、心筋梗塞急性期に、テクネチウム99m-ピロリン酸を用いた
シンチグラムを用いた検査のことです。

 

この心臓核医学検査によって、梗塞部位や範囲の評価が出来ます。